本人死亡の場合、残ったサラ金の借金は誰が払うの?

家族が消費者金融に借金をしていて、その本人が返済できなくなったとき、1983年施工の貸金業規制法では、家族や親戚に支払義務はありません(保証人になった場合は除く)。しかし本人が死亡した場合、そして相続権が発生した場合は、状況が異なってきます。相続と言えば、個人の財産をそっくり受け継ぐことですが、同時に借金などの負の遺産も、そっくり付いてきます。

昔は、消費者金融業者も「団体信用生命保険」に加入しており、債務者が死亡した場合、残りの借金は死亡保険金で支払って、家族は支払う必要がありませんでした。が、今は「命と引き替えに借金を支払う」ということで、禁止されています。

もし相続した財産に借金が含まれていたら、以下の方法があります。

①そのまま相続する
受け継いだ財産が借金より多い場合です。相続財産で返済すれば問題ないでしょう。

②相続を放棄する
借金が高額で、財産よりも多い場合は、相続権があると分かった時点から、3ヶ月以内に手続きをしなければなりません。家族が亡くなって辛いときに、3ヶ月という短い期間で、相続するか否かの判断を迫られるなど、少々酷な気もしますが、税法で定められているので仕方ありません。

③限定承認で相続する
正の財産の範囲内で負の財産を相続する場合です。しかし相続財産管理人の任命や、承認を得るための費用もかかるので、この方法を選ぶケースは稀です。こちらも3ヶ月以内に手続きをしなければなりません。

②③の方法を選ぶ場合、まず消費者金融業者に本人が死亡したことと、同時に「相続放棄(または、限定承認)を検討中である」ことを伝えましょう。そして手続きが完了するまで、返済はしないでください。相続放棄(限定承認)の受理書のコピーを業者に送付すれば、返済完了扱いとなります。ちなみに、これ以降の督促は違法です。

個人の借金の返済は、早めに済ませてしまいたいですが、少し待ってください。故人に過払い金が戻ってくる場合があります。過払い金とは、2010年に施行された利息制限法で、違法金利とみなされた利息分のことです。借金の相続と共に、この過払い金を受け取る権利も相続されます。過払い金で、借金の残額を返済できる可能性もあります。ご家族が亡くなって悲しい上に、お葬式などでお疲れでしょうが、消費者金融業者から“取引履歴”を取り寄せることをお勧めします。

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